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研究関始当初の背景

オキサリプラチン、タキサン系薬剤など末梢神経障害を来す薬剤の使用が増加し、末梢神経障害の影響を受ける患者さんは年々増加しています。日本においてはこれらの薬剤を使用する大腸がんや乳がんの患者数は増加の一途をたどっていて、末梢神経障害の管理は重要な問題です。慢性の神経障害が悪化すると「手がしびれて文字が書きにくい、箸がもてない」など日常生活行動に大きな支障をきたし、生活の質を低下させます。
しかし、末梢神経障害に有効な治療法はなく、確立されていません。そのため、末梢神経障害の症状の程度や様子を簡単に把握できる“ものさし”が必要です。

 

 

研究の概要

本研究の目的は、日本人に適した抗がん薬治療による末梢神経障害の程度を調べる”ものさし“となるものを開発し、効果的な看護を行うためのアプリ教材を開発することでした。

全国5か所の医療施設で末梢神経障害をもつ327名の患者さんにからアンケートの回答をいただき、研究の手順に沿って分析を行いました。その結果、信頼性や妥当性が証明された”ものさし“である「がんサバイバーの化学療法に関連する末梢神経障害の包括的評価尺度The Comprehensive Assessment Scale for Chemotherapy-induced Peripheral Neuropathy in Survivors of Cancer(CAS-CIPN)」が完成しました。また、末梢神経障害に関するアプリ「がん患者さんの安全・安心な暮らしのサポート―がん薬物療法に伴う末梢神経障害のセルフマネジメント―」(20分)を作成しました。今後は医療チームでの関わりを目指しています。

 

今後の課題

研究の手順に基づき信頼性・妥当性が証明された“ものさし”を開発することができました。また同時に、自宅でも使用できるアプリ教材を開発しました。末梢神経障害を緩和する薬剤がないため、薬物治療により引き起こされる末梢神経障害の程度を全体的に把握します。今後は、この“ものさし”やアプリの効果を確認すると共に、安全・安心な暮らしサボートそして効果的な管理方法の確立をめざします。